「風のまち」とも呼ばれる稚内市の、日本の最北を刻む宗谷岬には強めの潮風が吹き渡ります。東のオホーツク海と西の日本海の潮目にあたる稚内の漁場はまさに魚貝の宝庫。「稚内産・稚内加工」の良質の海産物を全国に出荷しています。
本土最東端に位置する根室市は日本で最初に朝日を浴びる町として知られ、元旦の「納沙布岬」には初日の出を見に、毎年多くの人が訪れます。白鳥の風蓮湖、野生鹿の春国岱など、野生生物が豊かに集う景勝地の数々を抱くとともに、北方水産都市としての漁業の厚い歴史を有しています。減少の一途をたどる日本のサンマですが、水揚げ量は根室市が日本一を誇ります。
北海道最大の玄関口〈新千歳空港〉を中心とした都市部と、支笏湖を中心とした雄大な自然が共存する千歳市。清流千歳川を遡上するサケや、一時絶滅を危ぶまれた北国の特産果実・ハスカップの一大産地としても知られます。加工や醸造に適した本市には多くの有名企業の大工場が稼働中。
渡島半島の南西に位置し青函トンネル・北海道側出入口にあたる知内町。津軽海峡の荒波に揉まれて育った〈知内カキ〉の他、肥沃な農地で栽培されるニラ〈北の華〉は、その瑞々しい歯ごたえと濃厚な甘みで全国の料理人から支持を得る名産品です。
特別豪雪地帯にも指定されている道南の木古内町。180年の歴史を持つ神事「寒中みそぎ」が現在にも受け継がれ、みそぎの浜から汲み上げた海水を精製した〈みそぎの塩〉は当町の名産品の一つ。また、道南生まれ道南育ちの〈ふっくりんこ米〉が近年、道内外から高い評価を得ています。
札幌市と函館市のほぼ中間に位置する黒松内町。畑作と酪農が織りなす牧歌的で美しい景観と、北海道遺産指定の天然のブナ林を町民の手で守ってきました。ブナ林が育む名水と、その水を利用した畑作と酪農が盛んです。
ニシン大漁時代を伝える明治期の番屋や旧街道が随所に見られ、〈神威岬〉からのぞむ海の青は「積丹ブルー」と呼ばれます。初夏のウニ漁、秋のサケ漁、冬のタラ漁と四季を通じて豊かな魚貝の水揚げがあり、その品質は「寿司を食べに積丹町に行く」という道民の声も聞かれるほど。
過疎化の進む道内で「40年間人口増加中」の東神楽町は、道内有数の米どころとして、知名度も上昇中。良質の木材と高い技術による家具の生産も盛んです。また、戦後から続く〈花のまち〉の歩みの成果として、季節の花々が市民の暮らしに彩りを添えています。
幻の魚・イトウの聖地とも言われる全国4位の長河・天塩川の河口に位置する天塩町。サケ・マス漁、「蝦夷の三絶」と称される〈ヤマトシジミ〉漁、道北の冷涼な気候を活かした酪農が盛んです。トワイライト時間の長さから「夕映え」のするまちとしても知られています。
ロシアとの間を往き来する水鳥の中継地として知られる〈クッチャロ湖〉は最北のラムサール条約登録地。天然記念物登録の鳥たちや、北国固有の花々が観察できます。流氷漂う厳寒のオホーツク海では良質なホタテやカニが揚がり、冷涼な気候と広大な土地を活かした酪農も盛んです。
〈ピンネシリ岳〉といった山岳地が土地の多くを占め、昼夜の寒暖差の大きい中頓別町には今も手つかずの自然が残っています。貴重な最北のカルスト地形を残す中頓別鍾乳洞に、天然のプラネタリウムのような星空。澄んだ空気を活かし、こだわりの乳製品や自家焙煎珈琲が作られています。
最北の百名山を擁する利尻富士町。希少な高山植物と山頂からの絶景をして毎年多くの登山愛好家を魅了しています。周辺の海は言わずと知れた名産品・利尻昆布や、鮑・雲丹・毛蟹といった高級魚介の宝箱です。
虎杖浜地区では大正期からのたらこ加工の伝統が今に受け継がれ、海をのぞむ絶景の温泉が旅人の心と体を癒す白老町。土地の大部分を占める深い森には先住民族アイヌの魂が息づき、ナショナルセンター〈ウポポイ〉ではアイヌの伝統文化の保全と未来への創造を目指します。